【実話】失踪していた母に再会。「許せない!」復讐を決意する僕。【浮気・不倫】

主な登場人物

・僕
・父親
・母親

僕が中学2年のとき。

母親が消えた。離婚届けを残して…

僕は驚かなかった。いつか母がいなくなる日が来るだろうと予想していたからだ。

母親は浮気をしていた。それを僕は知っていた。

母親は真面目だけが美徳の父親に飽きていたのだと思う。だから浮気をしていたのだと思う。

浮気相手との仲が深まれば、家を出て行く。

そう思っていた。そう思っていたから母が実際にいなくなっても驚かなかったのだ。

でも、親父は違った。母の失踪に衝撃を受けた。なぜ失踪したのかわからないようだった。

だから僕は言った。

母は浮気をしていた

親父は信じられないという顔をした。

親父

なんでアイツが浮気なんてするんだ?

知らないよ

僕は嘘をついた。さすがに親父に「親父に飽きたから」とは言えなかった。

父親は酒を飲むようになった。時間の経過とともにその量はどんどん増えていった。

僕は酔った父親に殴られることもあった。

親父

お前のせいで妻は出て行ったんだ!

と、殴られながら非難されたこともあった。

確かに親父のせいだけではなく、僕のせいもあったのかもしれないと思った。

親父の相手だけではなく、息子の世話も面倒になった。だから出ていった。

そう考えることもできた。だから父の非難を否定することはできなかった。

でも…だからと言って母親の義務や妻の義務を放り出して失踪した母よりも僕や父が悪いとは思えなかった。

どう考えても一番悪いのは母だと思えた。

だから僕は母に対する怒りを強めていった。母のせいで僕も父も不幸になったと思い、憎しみを強めていった。

大学3年の時に、酒が原因で肝臓を患った親父が他界。

親父は母のせいで死んだと思い、さらに母への憎悪を強くした。

親父の残してくれた少しの遺産と保険のおかげで何とか大学は卒業できた。

小さいが、面倒見のよい就職先も見つかり、働き始めることができた。

自分の不幸を忘れるためにがむしゃらに働いた。

だが、1本の電話が僕に不幸を思い出させた。

その電話は仕事にも慣れてきたときにかかってきた。

母からの電話だった。誰かに僕の番号を聞いたらしい。

夫が亡くなったの

一瞬、僕の父親のことを言っているのかと思った。…違う。母の浮気相手のことだ。

母は浮気相手と結婚していたようだ。

父も亡くなったよ

と、僕は言ってやった。

お前のせいでな!

と、心の中で付け足す。

そう…

2人の間に沈黙の時間が流れる。

沈黙を破ったのは僕だった。

それを伝えるために電話してきたの?

違うわ。実話ね…

母は話し始める。

母の話を聞いているうちに僕は怒りを感じた。その怒りはどんどん強くなっていった。

母は、僕に金銭的援助をしてほしくて電話をしてきたのだ。

捨てた息子に金銭的援助をしてほしくて電話してきたのだ。

僕と父を不幸にした母が金銭的援助をしてほしくて電話してきたのだ。

そんな無神経な母に僕は尋常ではない怒りを感じた。

許せないと思った。

僕にこんな怒りを抱かせた母が許せないと思った。

復讐の炎が燃え上がる。

僕は母に復讐を決意する。

復讐のために頻繁にかかってくる電話に怒りを抑えながら対応する

面倒は自分が見る、みたいな言動をとった。

それが功を奏して実際に会うことになる。

待ち合わせ場所の喫茶店に行く。

窓際の席でコーヒーを飲む見覚えのある女性。

母だった。

久しぶりに見た母は、年齢より若く見えた。綺麗にも見えた。

その若さと綺麗さに怒りを感じた。きっと不倫相手と幸せな人生を送っていたのだろう。僕と親父が不幸の最中にいたときも幸せな人生を送っていたのだろう。だから今もこんなにも若々しく綺麗なのだろう。

そう思うと殴りたいほどの怒りを感じた。

殴りたい気持ちを必死に押さえて母の話を聞く。

今高校生の息子(腹違いの弟)がいて、大変優秀だけどお金がなくて進学させてあげられない

同情を引くように母は言った。

でも僕は同情など微塵も感じない。感じるのは母への怒りだけ。

それでも父への謝罪の言葉を言ってくれれば少しは怒りが鎮まったかもしれない。でも母の口から父への謝罪の言葉は一言もでなかった。

逆に父が悪かった的な言葉はたくさん口にした。父のせいで私は可哀そうだった的な言葉もたくさん口にした。

あなたのことは一日たりとも忘れたことがなかった。

立派になっていてくれてうれしい。

これからは親子三人で暮らそう

我慢の限界だった!

ふざけるな!

2度と喋れなくなるようにその口を思いっきり殴ってやりたかった。でも、そんなことをするわけにはいかない。

だから僕はコップの水ぶっかけた。

呆然とする母親。

お前のせいで僕と父は不幸になったんだ。そんなお前といっしょに暮らせるわけないだろう。金銭的援助できるわけないだろう。

この無神経女が!

お前は最低だ!最低の母親だ!

お前もお前の息子もどうなろうが僕の知ったことじゃない。どうかなってくれたほうが嬉しいくらいだ!

それくらいお前のことを僕は憎んでいるんだ。憎んでいるんだよ。

わかったか。この馬鹿女が!

思いつくだけの罵詈雑言をぶつけた。

最終的に「二度と連絡してくるな」という言葉を投げつけた。

そして店を飛び出した。

それ以来、母と会ってない。

その数年後、僕は結婚することになった。

結婚相手は僕の過去を知っている。知った上で僕と結婚してもいいと言ってくれたのだ。

この娘は母のように僕を裏切らないと思えた。だから結婚を決意することができた。

彼女と幸せな家庭をきっと築いてみせる。

そう決意し、僕は結婚生活をスタートさせた。

おわり

Posted by みーこ