【恋話】別れた彼女の残した手紙が僕に生きる勇気と希望をくれた話【泣ける話】

主な登場人物

・僕
・元彼女

彼女

やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいいんじゃない。

高校時代に付き合って彼女が口癖だった言葉。

今でもその声を思い出すことができる。

もう2度と聞くことのできない声…

思い出すと泣きそうになる。

 

嫌いになって別れたわけではなかった。

僕たちは若かった。だからいろいろやりたかったし、自分の可能性を試したかった。

だから別れた。

心のどこかでは、いつか再会できるだろうと思っていた。

でも再会することはなかった。

 

別れた後も手紙のやり取りはしていた。

手紙のやりとりをしていたからこそ、彼女と再会できると思っていた。

でも再会できなかった。

ある時からぱったりと手紙は届かなくなった。

『忙しいのかなぁ?』

と思った。

『彼氏でもできたのかな』

とも思った。

『そのうち彼氏ができたっていう手紙が来るかもしれない』

とも思った。

でも、そんな手紙は来なかった。1枚も来なかった。

さすがの僕も『手紙書くの面倒になったのかな』と思った。

寂しさを感じた。彼女とのつながりが消えてしまったようで。

 

夢を見た。彼女と再会する夢を。

夢の中の彼女は笑顔だった。

彼女

やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいいんじゃない。

笑顔で口癖を言ってくれた。

それを聞いて僕は笑った。変わらないなと思った。

そこで目覚めた。なぜか目に涙が滲んでいた。

彼女に会いたいと思った。でも会いに行けば彼女に迷惑をかけるかもしれないと思った。だから会いにいかずに手紙を待った。

手紙を待ち続けた。でも手紙はこなかった。来るわけないのだ。このとき彼女はもうこの世界のどこにも存在してなかったのだから。

白血病。享年20歳。

彼女は20歳という若さで天国に旅立ってしまったのだ。

 

彼女の友人から、彼女が病室で病と戦いながら手紙を書いてくれたことを聞いた。

『もっと早く教えてくれれば良かったのに』

『何で教えてくれなかったんだ?』

そう考えながら僕は泣いた。

僕に心配かけたくなかったのかもしれない。病気で弱っていく自分を見られたくなかったのかもしれない。僕の人生の邪魔をしたくなかったのかもしれない。僕の悲しむ顔を見たくなかったのかもしれない。

いくら考えても正しい答えはわからなかった。

だって答えを知っている彼女はもうどこにもいないのだから。

そう考えると涙が溢れてとまらなかった。

彼女が僕のとってどれほど大事な存在だったか失って気づいた。

彼女のあとを追って死にたい気分になるほど彼女は大切な存在だったのだ。

死にたいという誘惑に負けそうだった。

『でもあいつが生きれなかった分、オレが生きなきゃダメだ』

『今は真っ暗だけど、進まなきゃ。立ち止まったら彼女に言われてしまう。あの言葉を』

彼女

やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいいんじゃない。

その声が聞こえた気がした。近くに彼女がいる気がした。でも彼女はどこにもいない。どこを探してもいない。その事実が僕を悲しませる。

彼女のためにも立ち直りたかった。でも立ち直れなかった。どうしても立ち直れなかった。彼女のいないこの世界で生きていく自信が沸いてこなかった。

 

生きる屍みたいな状態の僕の元に一通の手紙が届いた。

彼女からの手紙からの手紙だった。

僕は驚き、手紙を開いた。

たくさんの思い出をありがとう。

高校3年間で見つけた宝物……

それはあなたです。

愛する事が上手な男性になってください。

いつまでもあなたらしく……

笑うことを忘れないでね?

あなたの人生はこれからです!

あなたなら出来るよ。

自分の『生』を精一杯、輝かせてください。

この手紙を読み、僕は泣いた。声を上げて泣いた。泣き続けた。

彼女がどんな思いでこの手紙を書いたのかと考えると涙が溢れてとまらなかった。

僕は決めた。

もう後ろは振り向かない。

僕は自分の信じた道を行く。

僕の背中を押してくれてありがとうな。

おまえの分まで生きて、笑って、幸せになる。

必ず!

おわり

Posted by みーこ